失敗・ミスに関する、回避困難な心理の癖!原因対策・改善方法!本の知識!
失敗には、取り返しのつかないものから、
むしろチャンスになるものまで、様々あります。
良い意味でも悪い意味でも、
人生に大きく関わるものです。
そんな人生を左右するものの知識を、
あなたは持っていますか?
本『失敗の科学』から、学びましょう。
失敗への対処法と、失敗を使いこなす術を
身につけることが出来ます。
本書の知識を切り抜き、紹介します。
- 極度の集中状態に入ってしまうと、人は、時間感覚を失う!
- 人は、強い心理的葛藤が生じると、事実の解釈を変えようとしてしまう!
- 「解釈の改変」は、失うものが大きいほど強く働く!しかも、知っていても防げない!
- 人の記憶は、思っているほど当てにならない!改変されやすい!
- あなたが、失敗を受け止めないから、物事は進歩しない!
- 懲罰ではミスは減らない!ミスの”報告”が減るだけ!
- 「検証と軌道修正を繰り返す、進んで失敗をして学ぶ」アプローチを、面倒と思わず実行する!
- 大きな目標を小分けに!小分け目標を一つずつ達成で、大きな目標に辿り着く!
- 事前検死の方法で、より早く、より簡便に、失敗できる!
- ランダム化比較試験(RCT)なら、”正しく”失敗できる!
- 失敗を分析する際は、「見えていないデータがないか」注意する!
極度の集中状態に入ってしまうと、人は、時間感覚を失う!
![](https://knowledge-clipping.com/wp-content/uploads/2023/08/nixie_tube_clock.png)
実際にあった医療事故、航空事故、
そして実験から、明らかにされた、
人間が持つ、恐ろしい心理的な癖を紹介します。
人間が持つ恐ろしい心理的な癖:
緊急のトラブル対処など、極度の集中状態に入ってしまうと、人は、時間感覚を失う
医療トラブル、航空トラブルでは特に、
使える時間が少なくなればなるほど、
取れる選択肢は限られ、危険性は高まります。
時間管理が極めて重要な中、
時間感覚を失ってしまえば…
自身で、時間感覚を取り戻すことは
出来るのでしょうか?
期待は、できません。
他人を頼るのが、懸命でしょう。
それほど、恐ろしい心理的な癖なのです。
人は、強い心理的葛藤が生じると、事実の解釈を変えようとしてしまう!
![](https://knowledge-clipping.com/wp-content/uploads/2023/09/spiritual_woman.png)
ある心理研究を、紹介します。
事実の解釈を変えてしまうエピソード:
あるヘンテコ宗教の教祖が「〇〇年〇月〇日の夜明け前に、大洪水が発生して世界が終焉を迎える!」と、訴えていた。
予言が外れた時、信者は「どういう反応をするのか」興味を持った心理研究者がいた。ヘンテコ宗教に潜入し、信者を観察した。
予言は外れたが、信者は教祖に幻滅しなかった。そればかりか、以前より信仰に熱心になる者もいた。
「事実の解釈」を変えたからだ。「きっと、自分たちが予言を流布したから、世界は滅亡しなかったのだ!神に行いを認められ、慈悲を与えられたのだ!」
信者は、予言の日までに、教祖へ、
多くのものを捧げ過ぎていました。
教祖の教えに従い、仕事を辞めました。
家族とも対立しました。
「人生を賭けた」と言って良い程のコストを
支払ったものが、「嘘だった」と、分かったら?
そう簡単には、事実を
受け入れられないでしょう。
強い心理的な葛藤が、混乱が、生じ、
「きっと〇〇なんだ!そうに違いない!」と、
思い始める。
誰しも、解釈を変えようとしてしまうのです。
「解釈の改変」は、失うものが大きいほど強く働く!しかも、知っていても防げない!
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「解釈の改変」は、これまで支払ってきた
コストに応じて、より強く働くことを
紹介しました。
これは、”これから”支払う場合も、同様です。
地位や権力の失墜が、典型でしょう。
自分の失敗を認めることで、
これから失ってしまうものが大きいほど、
より強く働きます。
そして、さらに恐ろしいことに、
この「解釈の改変」は、「知っていたら
必ず防げるもの」ではないのです。
「解釈の改変」をかける心理実験が
行われました。
実験の後、被験者に「改変」の仕組みを説明。
「だから、君の回答は誘導されたもの
だったんだよ」と、種明かしをしました。
しかし、参加者は「それを知った後でも、
僕の回答は変わらないね」と、答えました。
回答内容は、「改変」の影響がなければ、
本来、選択しないようなものだったのです。
人の記憶は、思っているほど当てにならない!改変されやすい!
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「記憶は、かなり当てにならない」ことを、
知っていますか?
ある心理実験を紹介します。
「記憶は当てにならない」ことを示した実験:
車の衝突事故の映像を、被験者へ見せた。
「車は、どのくらいのスピードで”ガシャン”と、ぶつかりましたか?」と、質問した。
”ガシャン”が、実験のポイント。映像では、ガラスは全く割れていない。
しかし、被験者は、”ガシャン”の言葉に影響されて、ガラスが割れた前提の回答をしてしまった。
私たちは、自分が見たものを、
全て高画質の動画で頭の中に
保存しているわけではありません。
不鮮明であるために、誘導されると、簡単に
「そうだったかも」と思ってしまうのです。
あなたが、失敗を受け止めないから、物事は進歩しない!
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たいてい、物事の進展に、失敗は欠かせません。
しかし、防衛反応からなのでしょうか?
人は、都合よく、失敗の事実を放置したり、
曲解したりして、「失敗した」と、
思おうとしない。
そんな心理的な癖を、持っています。
そして「失敗してない」のだから、
「その事実から学ぶことはない」として、
物事の進展を阻害してしまう…
実際にあったエピソードを紹介します。
失敗から学べず、進展が起こらなかったエピソード:
19世紀まで、瀉血(しゃけつ)という「血液の一部を抜き取る排毒療法」が”当たり前に”採用されていた。
効果がないばかりか、逆に害を与えることがあるにも関わらず。
患者の調子が良くなれば「瀉血で治った!」と、考えた。
患者が亡くなれば「よほど重症だったのだろう。奇跡の瀉血”でさえ”救うことが出来なかったのだから!」と、考えた。
後に、患者が回復していたのは、人間が持つ、
ただの「自然治癒力のおかげ」だったと、
分かりました。
患者が亡くなってしまった、その時、
失敗に、しっかりと向き合っていれば、
失敗を、しっかりと検証していれば、
瀉血が、19世紀に至るまで”当たり前に”
使用されることはなかったでしょう。
あなたが、失敗を受け止めないから、
物事が進歩しないのです。
懲罰ではミスは減らない!ミスの”報告”が減るだけ!
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失敗・ミスに対して、懲罰を強化し、
抑制する方法があります。
当然(?)ですが、これは有効な方法では
ありません。
失敗を隠そうとしてしまうからです。
懲罰の強化が有効でないエピソード:
いくつかの病院をサンプルとして、懲罰の有効性が検証された。
懲罰志向の病院の方が、ミスの報告は少なかった。一見、懲罰が有効であるように見えた。
しかし、懲罰志向の病院では、ミスの”報告”が少なかっただけだった。スタッフは懲罰を恐れ、ミスを隠していたのだ。
そして、懲罰志向の病院の方が、おかしていたミスの件数は多かった。
懲罰志向の病院の方が、ミスが多いのは、
失敗から学べていないからです。
他の病院に比べて、学びが蓄積されていかず、
同じミスが繰り返されてしまうのです。
「検証と軌道修正を繰り返す、進んで失敗をして学ぶ」アプローチを、面倒と思わず実行する!
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改良・改善のアプローチに、大事なことは?
「失敗を繰り返すこと」です。
改良・改善のアプローチのエピソード:
当時、ユニリーバでは、粉末洗剤の製造工程で使われるノズルの改良を行なっていた。
工程の中で、液状の洗剤原料を、ノズルから噴射する。この噴射の際に、ノズルが頻繁に詰まり、困っていたからだ。
流体力学などに詳しい学者を集めたが、お手上げ。導き出した理論を基に、いくつかノズルを作成するものの、改善できなかった。
困ったユニリーバは、半ば投げやりで、自社の生物学者たちに助けを求めた。当然、流体力学など、ノズル改良に必要な専門知識を、生物学者たちは持ち合わせていない。
しかし、成功させた。生物学者たちは、ノズルに、わずかな変更を加え、何度もテストした。失敗を繰り返したのだ。その数、449回。
最終的に出来上がったノズルは、どんな学者も予期し得ない形をしていた。
「論理は、役に立たない」という話では
ありません。
「手間がかかる、失敗の繰り返しを、
面倒くさがらず実行せよ」という戒めです。
「検証と軌道修正を繰り返す、進んで
失敗をして学ぶ」アプローチの重要性を
教えてくれる、お話です。
大きな目標を小分けに!小分け目標を一つずつ達成で、大きな目標に辿り着く!
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「検証と軌道修正を繰り返す」アプローチに、
似た考えとして「マージナル・ゲイン
(小さな改善)」があります。
なにか大きな目標があるときに、
使える考え方です。
大きな目標に向かって努力することは、
途方もなく長い道のりに感じてしまいます。
そこで、大きな目標を小分けにしてみる。
大きな目標を叶えるために必要な
改善ポイントを挙げ、
その改善ポイントを、一つずつ、
着実に達成していくことを目標にする。
いつの間にか大きく前進していることでしょう。
事前検死の方法で、より早く、より簡便に、失敗できる!
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失敗を重ねれば重ねる程、改善できるなら、
より早く、より簡便に、失敗できるように
したら良いのでは?
パイロット・スキーム(先行テスト、
試作品テスト)が有名ですが、
“事前に”失敗する方法もあります。
事前検死(pre-mortem)と呼ばれる方法です。
あらかじめプロジェクトが失敗した状態を
想定し、「なぜ上手くいかなかったのか?」を
話し合います。
上手くいかなかった理由を「これ以上ない」
というレベルまで挙げると、思いもしなかった
懸念事項(失敗の種)が見つかるでしょう。
注意したいのは、「プロジェクトの中止が
目的ではない」ことです。
プロジェクトを、強化しましょう。
確実にプロジェクトの微修正が行えます。
ランダム化比較試験(RCT)なら、”正しく”失敗できる!
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WebデザインA案B案、「どちらの案が、
よりアクセスを集められるか」知りたい時、
あなたなら、どうしますか?
「A案の次に、B案を試す」方法では、
間違った結論を導き出してしまいます。
例えば、A案の方が、アクセス数が多かった。
しかし、その結果は、A案を試している時に、
ちょうど台風の影響で、家にいる人が増え、
Web全体のアクティブ数が
増えていたからかもしれない。
外部要因を無視できないのです。
そこで、A案B案、両方の案のサイトを
同時に公開する。
すると、どちらも”同時に”外部要因を
受けるため、“正しく”検証できます。
この方法は、ランダム化比較試験(RCT)と
言われています。
“正しく”失敗するための方法です。
失敗を分析する際は、「見えていないデータがないか」注意する!
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失敗から、短絡的に学ぼうとしてはいけません。
場合によっては、正反対の学びを
得てしまいます。
具合的なエピソードを、紹介します。
「見えていないデータ」のエピソード:
爆撃機の、装甲が必要な部分の優先順位について、研究していた。
爆撃機全体を、装甲で覆ってしまうと、機体が重くなり過ぎてしまい、操縦が困難となる。装甲する部分を絞る必要がある。
無事帰還した爆撃機が、研究の助けとなった。帰還した爆撃機の翼と胴体には、砲撃された時に出来たと思われる穴があった。蜂の巣にされている。
対照的に、コックピットと尾翼には、穴が全くなかった。「なんだ、簡単じゃないか。コックピットと尾翼の装甲を減らして、翼と胴体の装甲を増やそう」大多数の研究者は、こう判断した。
しかし、一人が異を唱えた。「コックピットか尾翼を砲撃された爆撃機は、帰還”できなかった”のではないか。装甲の優先順位は、逆だ」
失敗を分析する際には、「見えていない
データがないか」注意しましょう。
この話で言えば、「帰還できなかった
爆撃機の状態」が、見えていないデータです。
不完全なデータからは、間違った学びを
得てしまいます。
まとめ
以上、
- 極度の集中状態に入ってしまうと、人は、時間感覚を失う!
- 人は、強い心理的葛藤が生じると、事実の解釈を変えようとしてしまう!
- 「解釈の改変」は、失うものが大きいほど強く働く!しかも、知っていても防げない!
- 人の記憶は、思っているほど当てにならない!改変されやすい!
- あなたが、失敗を受け止めないから、物事は進歩しない!
- 懲罰ではミスは減らない!ミスの”報告”が減るだけ!
- 「検証と軌道修正を繰り返す、進んで失敗をして学ぶ」アプローチを、面倒と思わず実行する!
- 大きな目標を小分けに!小分け目標を一つずつ達成で、大きな目標に辿り着く!
- 事前検死の方法で、より早く、より簡便に、失敗できる!
- ランダム化比較試験(RCT)なら、”正しく”失敗できる!
- 失敗を分析する際は、「見えていないデータがないか」注意する!
を紹介しました。
本書は、文量が多いため、読むのを
躊躇する方が多いと思いますが、
安心してください。
失敗エピソードの紹介が多く、
まるで小説のようにスラスラと読めるので、
むしろ読みやすいまであります。
翻訳も完璧で、大変読みやすくなっています。
また、本書の内容も、生きていく上で、
非常に重要な知識ばかり。
本記事で紹介した以外にも、
多くの「失敗に関する知識」が
解説されています。
ぜひ読んでみてください。
非常にオススメの本です!
それでは、また!
出典
マシュー・サイド . 失敗の科学 . ディスカヴァー・トゥエンティワン , 2016
![](https://knowledge-clipping.com/wp-content/uploads/2023/04/book-reduce-mistakes-300x158.png)